今週のトルコリラはどう動いたか

トルコリラの週間の値動きを解説します

2019年10月第二週

トルコがシリアで軍事作戦開始。予想外の出来事でトルコリラは下げを加速しましたが、地合いが良くて18円台で下げ止まり、逆に上昇に転じました。下げ止まった背景として、アメリカの経済制裁がすぐに行われなかったことにより、経済制裁が無いものと判断されているようです。

 

トルコの軍事作戦の背景

 

トルコのエルドアン大統領にとって、国内のクルド人武装勢力は悩みの種でして、今まで何回も武装勢力の掃討作戦を展開してきました。しかしクルド人武装勢力がシリアから流入してるので、武装勢力の補給を遮断する目的も含めて、シリア領内でも軍事作戦を行うことを決めました。この軍事作戦は何度も行われていて、シリアのアサド政権は反発しています。ただ今回は米軍が関与していなくて、あくまでもトルコ側のシリア側の都合に沿った行動で、シリアもロシアも黙認でアメリカやEUが避難しています。

 

アメリカの経済制裁はあるのか

 

この軍事作戦に、シリアからの撤収を考えているアメリカのトランプ大統領はお怒りですが、経済制裁に関してはアメリカ議会からの突き上げがあるにもかかわらず、態度を保留しています。経済制裁をしてもロシア側がトルコを助けて、結果的にトルコをロシア側に取られるから、脅しはしても実際はできないのが現状です。しかしアメリカのメンツもあって、必ずしも経済制裁は行われないとは言えません。それでも経済制裁をする前に軍事作戦が終了しそうで、こちらも杞憂になりそうです。

 

軍事作戦は経済にマイナス

 

今回はトルコにとって大規模な軍事作戦になるので、トルコ政府の財政赤字拡大は貿易赤字、経常収支の赤字の拡大になり、生産が追い付かない消費の拡大はインフレを推し進めるから、トルコ経済にマイナスになります。インフレを抑え込もうとトルコ中銀は利上げを行いところですが、エルドアン大統領からの圧力があるから、利上げを行えず中期的には経済が悪化するのは確実です。

 

来週はどう動くか

 

来週のトルコリラですが、14日に8月鉱工業生産 (前年比)の発表がありますが、大きく動かずに引き続き相場の地合いに押される値動きになりそうです。トレンド的には下げですが、軍事作戦終了で下値は限定的で、どこで反転かが争点になりそうです。予想レンジとしては18円10銭~18円90銭と予想してみます。