今週のトルコリラはどう動いたか

トルコリラの週間の値動きを解説します

2019年9月第四週

今週のトルコリラは、経済指標の発表が無くユーロの上昇に合わせて買われる展開になり、19円台を回復して終わりました。アメリカが経済制裁を行うかとの思惑も後退して、トルコリラを売る材料が無いのが大きな理由の一つです。

 

アメリカがトルコに経済制裁をしない理由

 

シリア情勢で、16日にトルコのエルドアン大統領がロシアのプーチン大統領とイランのハッサン・ロウハニ大統領を首都アンカラに招き、三者会談を行いました。会談内容としては、シリア反体制派最後の主要拠点の北西部イドリブの人道的危機がこれ以上深刻化しないようにとですが、単純に難民がトルコに流れないようにすることで、話し合われただけでしょう。イランへの経済制裁でトルコの銀行が制裁違反で財務省から罰金を払わされることになっていますが、免除になりそうな流れです。これ以上トルコを追い込んでもロシアとの結びつきを強化して、ロシアを利することになるから、イランや北朝鮮と違って制裁を強化できないです。

 

来週は消費者物価指数の発表があります

 

今週は経済指標の発表が無く、他の通貨の値動きに合わせての動きでしたが、来週は10月3日に消費者物価指数や生産者物価指数の発表があります。どちらとも前月比や前年比で改善が見られなければ、インフレ率や経済状態でトルコリラは売られることになります。消費者物価指数の発表があるため、テクニカル的には19円20銭台がレンジの目安ですが、結果が改善でしたらさらに上へ行きそうです。

予想レンジとしては18円70銭~19円30銭を予想してみます。 

 

 

 

2019年9月第三週

今週のトルコリラは、サウジアラビアの油田施設がテロにあって、原油価格が急騰し、それが世界経済に悪影響を及ぼすとして売られて始まりました。しかし、その影響が小さいとわかり、徐々に値を戻していきますが、主要通貨が値を下げる中、トルコリラも値を下げて、結局前週比マイナスで終わりました。

 

 サウジアラビアの油田施設がテロ行為を受ける

 

14日にイエメンの武装組織のフーシー派が、サウジアラビアの油田施設に無人機(ドローン)と巡航ミサイルでテロ攻撃を行いました。幸い死傷者は出ませんでしたが、設備が止まり、原油生産ができなくなって、日量570万バレルと世界の原油生産の約5%の規模の原油の生産ができなくなりました。この攻撃にはイランが関与していて、サウジアラビアアメリカがイランと戦争になるのではと思惑が広がり、リスクオフで円が買われて、16日はトルコリラは安く始まりました。

 

原油価格の高騰は一時的としてトルコリラが買われる

 

テロ攻撃の影響で下げて始まったトルコリラですが、原油生産量の落ち込みに対しては、アメリカが戦略備蓄の放出を決めて、イランと戦争を行わずに追加経済制裁だけにして、サウジアラビアも復旧を急ぐとして、原油価格が落ち着いてきたため、リスクオンムードが広がり、トルコリラは買われ始めて、16日は下げて始まったもの、陽線で終わりました。原油価格が落ち着けば、トルコリラを売る理由もなく、トルコリラは元のトレンドに戻って19円台を回復しました。

 

主要通貨が軟調トルコリラも売られる

 

19円台を回復したトルコリラですが、主要通貨が軟調でそれに引っ張られるようにトルコリラも売られて、19円台を割り込みました。トルコリラを買い続ける材料もなく、唯一買われていたポンドも下げに転じたため、これからトルコリラは下げトレンドに沿って売られていきます。

 

来週のトルコリラはどうなるか?

 

来週のトルコリラは、下げトレンドを引き継いでどこまで下げるかです。18円60銭を割れば、そのまま18円を割る勢いで下げていくし、18円60銭台の移動平均線で踏みとどまれば、しばらくレンジか反転してまた19円を目指します。経済指標の発表もなくトルコリラは主要通貨の動向次第と言えましょう。予想レンジは17円90銭~19円10銭と読みます。

 

 

 

 

 

2019年9月第二週

トルコリラ政策金利の引き下げは予想通りだったのですが、上昇は予想外でした。前回は利下げの打ち止め感から買われたということですから、利下げが打ち止めじゃないとわかった以上下がるはずなのに、逆に上昇しています。市場的にはアメリカが利下げをしそうでEUQE再開で想定的にトルコの高金利がまだ魅力的だということでしょうか。

9日にムニューシン財務長官がトルコへの制裁を検討と

9日にムニューシン財務長官がトルコへの制裁を検討と記者団に語ったということですが、制裁内容はまだ検討中だそうです。トルコがロシアから地対空ミサイルS400を購入したことに対して、米下院外交委員会がトランプ政権にトルコに制裁を科すように求めていて、それに応じての発言ですが、トランプ大統領としては制裁には消極的です。イラン、北朝鮮、中国と強硬な態度を取ってきましたが、ここずっと態度を軟化していて、どの国に対しても制裁が消極的になっています。ムニューシン財務長官が検討して制裁を考えてもトランプ大統領が実行させない可能性が高く、まだしばらく制裁は無いと思っていいでしょう。

政策金利引き下げでトルコリラが上昇

12日のトルコ中央銀行政策金利発表は、予想の2%引き下げの17.25%よりもさらに低い16.5%でした。これを受けてトルコリラは急伸、19円台を回復しました。引き下げは大方の予想通りでしたが、思ったほどトルコリラが下げないところで、材料出尽くしということで仕掛けが入り、トルコリラが大きく買われました。ただ大きく上昇してこれ以上の買いが入りづらく、時間が経った後徐々に下げ始めました。利下げは3.25%と前回の4.25%よりも下げ幅が小さいけど、比率的には前回と同じ6分の1ぐらいで、率的には攻めています。次の政策金利発表は10月24日と、それまでにトルコ情勢がどうなるかが気になるところです。リラ安なら利下げを止める可能性も出てきますが、利下げを止めるほどリラ安になる材料もなく、次の利下げは6分の1だから13.75%を予想します。

来週の予測と予想レンジ

来週のトルコリラは上げ過ぎの反動で一時的に下げますが、トレンド的には上昇トレンドなので、前回の高値19円68銭を目指していくと思います。ただ他の主要通貨の勢いがなく、下げに転じればトルコリラもつられて下げるので、いつまで上昇トレンドを続けられるかわからない感じです。

予想レンジは18円20銭~19円60銭と予想します。

 

 

 

 

 

 

2019年9月第一週

今週のトルコリラ為替相場に引っ張られるように上昇しました。2日に発表された 第2四半期GDP(前年比)は予想より良かったのが後押しになって、為替レートを押し上げました。ただ普段の上げ幅に比べるとしょぼいので、19円台の回復までには至りませんでした。

 

第2四半期GDP(前年比)はマイナスですが予想よりも良かった

2日に発表された第2四半期GDP(前年比)は、-1.5%とマイナスですが予想の-2.0%よりも良く、トルコ経済が好調とは言えませんが、改善の兆しを見せていると市場関係者には思われて、トルコリラが買われました。3日に発表された8月消費者物価指数(CPI)は前期比前年比とも予想よりも低くて、インフレの鎮静化が進んでいることが伺えます。 ただトルコのエルドアン大統領には、GDPのマイナスは受け入れがたい数字で、経済が悪化しているのは過剰な高金利が原因と、トルコ中銀に大きな利下げを要求するのは確実です。独立性を失ったトルコ中銀が、エルドアン大統領の圧力に屈して利下げをするのは確実で、12日の政策金利発表は利下げによる為替レートの下げを覚悟しておくべきです。

為替相場の地合いがトルコリラを押し上げた

 8月26日に底を打って上昇に転じたトルコリラは、為替相場の勢いに流されるように上昇を加速させます。第2四半期GDP(前年比)の発表があり、予想より良かったということでトルコリラの上げを下支えします。ただ他の主要通貨がずっと右肩上がりなのに、トルコリラは時間足ではレンジ相場と、地合いが良くてもトルコリラのリスクが高いから買いが集まらないと、まだ市場関係者たちにはトルコリラは高リスクの通貨と認識されています。それゆえ為替相場が下げに転じれば、トルコリラは他通貨に比べて大きく下げる可能性があります。

来週は政策金利発表

来週のトルコリラはどう動くかは為替相場次第といったところですが、来週は12日に政策金利発表があって、そこで大きな動きがあるとみられます。前回は、利下げながらも逆に好感されてトルコリラは買われましたが、今回はタイミング的に下げ相場の時に発表される可能性が高く、下げを加速させる恐れがあります。チャート的には18円70銭台で頭を押さえられていますから、上値が限定的で、利下げで18円を割る可能性があります。為替相場の地合いで押上げを期待したいところですが、ポンドが下げて、米ドルも雇用統計の弱さから利下げ観測が出てきていて、主要通貨は軒並み下げる可能性が高く、為替相場の方も期待できないでしょう。予想レンジとしては17円90銭~18円80銭と予測してみます。