今週のトルコリラはどう動いたか

トルコリラの週間の値動きを解説します

2019年12月第一週

ずっとレンジ相場で小康状態だったトルコリラが、今週は大きく下に動き出しました。トルコリラが下げた理由ですが、11月の消費者物価指数の上昇率が予想より低かったため、12日の政策金利決定会合で利下げが行われる可能性が高くなったからです。懸案だったアメリカからの経済制裁NATO離脱は、経済制裁がまだ行われなくて、NATO離脱も4日に行われたNATOサミットには普通にトルコが参加して、NATOの主要国の間ではトルコはNATOの重要な一員として、離脱は避けたいため、離脱協議は行われませんでした。

 

利下げの可能性は高い

 

注目の政策金利決定会合は、利下げの発表はほぼ確実と言えます。トルコのエルドアン大統領はインフレが落ち着いてきていると強調していて、利下げを要求したままです。問題はどれだけ下げるかですが、確実に10%は割り込むでしょう。中央銀行の意地で9%台は死守されて、9.25~9.75%の間で決まりそうです。利下げを見越して下げているトルコリラですが、下げ幅が小さければ買いがまた入るので、利下げだから下げるとは言えず、どうなるかは予想できないです。

 

来週はどう動くか

 

来週のトルコリラですが、どう動くかは政策金利次第です。利下げ幅が小さければ上で、大きければ下です。予想レンジとしては18円60銭~19円10銭の間になるでしょう。

11月第一週

トルコリラは材料難で大きな値動きが無く今週は終了しました。

 

トルコリラは上値が重く19円台を維持できず

リスクオンで引き続き米ドルが買われる中、トルコリラも買われましたが4日に発表された消費者物価指数が、予想を下回り前回よりも改善されたとはいえ、悪い数字であることには変わりなく、インフレ圧力が引き続き高いことが嫌気されて、トルコリラは18円台まで押し戻されました。

その後は狭いレンジでの小動きに

5日は、再び19円台に戻りますが、売り圧力が強くまた18円台に押し戻されて、その後は18円80銭~19円10銭の狭いレンジでの取引になりました。

来週のトルコリラはどう動くか?

来週は14日に9月鉱工業生産がありまして、この数字が悪ければトルコ経済が悪化してるとか利下げがあるとして、トルコリラが売られますが、それでも下げても18円30銭台とさほど大きく下げないでしょう。予想レンジとしては18円30銭~19円10銭と予想してみます。

 

 

 

 

 

2019年10月第五週

為替相場の地合いに押されて上昇トレンドに転じたトルコリラでしたが、19円台回復後は戻り待ちの売りに押されて、再び18円台にまで押し戻されました。29日に米下院でトルコに対しての制裁を行う法案可決で、一時的に下げましたが、再び上昇に転じる強いトルコリラでした。しかしその後は全般的なリスクオフで上昇後は下げに転じました。ただアメリカの雇用統計が良かったから、リスクオフムードが縮小して、トルコリラも再度上昇してきています。

 米下院でトルコに対しての制裁を行う法案が可決

 29日に米下院でトルコに対して制裁を行う法案が可決しました。さらにオスマントルコの時代にアルメニア人を大量虐殺したと認定する決議案まで可決と、トルコ政府に対して批判的な動きが強まっています。ただこれらは下院で可決しただけで、上院で審議すら始まっていません。だから実際に制裁が行われるかわからなくて、為替相場では一時的な動きになりました。たとえ審議が始まって上院でも可決した場合は、トランプ大統領が拒否権を発動して、議会に差し戻すという段取りで、実際に制裁が行われる前にトルコ軍が軍事作戦を終了して、シリアから撤退してしまった後になる可能性が高く、法案は無視していいレベルです。実際市場関係者たちはもう他の方を見ています。

リスクオンになりながらも上値の重い展開に

 11月1日のアメリカの雇用統計で、雇用者数が予想を上回って、米ドルが買われました。トルコリラも主要通貨に引っ張られるように上昇しましたが、19円台には戻り待ちの売りがあって、18円台に押し戻されました。相場の地合いが良いから、下値には買いが入りますが、依然上値には売り圧力があって19円台に回復しても長くいられない城チアが続いています。

来週はどう動くか?

来週のトルコリラは、4日に消費者物価指数の発表があって、数字が悪ければインフレを抑えるためにトルコ中銀が利上げに踏み切るかもしれないと、思えてきますがエルドアン大統領の圧力でそのようなことは無く、数字が悪ければトルコ経済の悪化が予測されて、トルコリラが売られることになりそうです。ただ地合いが良くて下げても小幅にとどまり,18円台は維持する値動きになりそうです。予想レンジとしては18円30銭~19円10銭の間と予想します。

 

 

 

 

 

2019年10月第四週

今週は政策金利発表があったのですが、今までと違って発表後に大きく上昇しないで、いつもの値動きに戻りました。もはや利下げ打ち止め感は無く、市場関係者にはトルコリラを積極的に買う気が無くなってきたと感じられます。一方シリア情勢ですがロシアの介入で、トルコの軍事作戦が確実に停止しそうで、軍事面においてトルコリラを売る材料もなくなり、大きく下げる可能性が無くなっています。

トルコ軍とクルド人勢力が衝突

20日にシリア北部に駐留するトルコ軍に対して、クルド人勢力が攻撃を加え、兵士一人が死亡し、停戦合意が破られてトルコ軍が再度軍事作戦を展開する可能性が出てきました。しかし双方ともその後は自制して軍事作戦は展開されず、トルコリラも地合いに押されるまま上昇しました。

ロシア介入で軍事作戦が完全に停止へ

ロシア憲兵隊が23日にシリア北部に展開して、クルド人民兵組織にシリア北部の国境地帯から退去を要請、クルド人人民部隊が退去後の安全地帯をロシア憲兵隊とトルコ軍が監視することになり、トルコ軍の軍事作戦再開がロシアの介入でほぼ無くなりました。これによってシリア情勢がらみはひとまず収束して、トルコリラの動向は政策金利へと移りました。トルコリラは市場の地合いに押されて19円を目指す流れから下げに転じました。

 政策金利は14%

24日に注目の政策金利がトルコ中銀から発表され、予想では1%下げの15.5%だったけど、それを上回る14.0%でした。これを受けてトルコリラは下がりましたが、前々回からの利下げの上昇期待の買いも入ってトルコリラは下げ渋り、大きく下げませんでした。しかし前日から買われていたせいか利下げ後の上昇も乏しく、陰線で引けて翌日も下げて終わりました。もうトルコリラは利下げの打ち止めが期待されず、利下げによるインフレ率の悪化で経済の悪化が予想される流れになっています。

来週のトルコリラはどうなるかを予想

来週のトルコリラは、軍事作戦終了でもうシリア情勢は話題にならず、重要な経済発表もないから、主要通貨の動きに合わせた変動になりそうです。積極的にトルコリラを買いも売りもなく狭いレンジでの変動になるでしょう。予想レンジとしては、18円40銭~19円の間を予想します。

 

 

 

 

2019年10月第三週

今回は大きなイベントが二つあったのですが、あまり目立たずいつもの変動と思える相場でした。二つのイベントは、アメリカがトルコの軍事行動に対して経済制裁を発表したのと、軍事作戦を5日間停止するとトルコが側が発表の二つです。軍事作戦停止は、アメリカとの交渉で決まりまして、軍事作戦停止で経済制裁を取りやめるとのことでトルコリラは好感されて買われました。

愚か者になるな

14日にアメリカがトルコに経済制裁を発表、当然トルコのエルドアン大統領がアメリカの経済制裁に屈しないと抵抗し、アメリカのトランプ大統領エルドアン大統領に「愚か者になるな」と親書を送って、軍事作戦を停止すれば経済制裁を止める意思を伝え、その後交渉で軍事作戦が5日間停止されることになりました。停戦中にクルド人を目的地から避難させて、犠牲者を出さずにトルコ側の目的を達成させる作戦です。

シリア政府軍とクルド人勢力が共闘してトルコに対する展開に

シリアのアサド政権はシリア北東部に軍隊を展開させて、トルコ軍に対抗。さらにクルド人勢力がシリア軍と協力してトルコ軍と対決することになって、シリアとの話し合いは何だったのかという感じになっています。エルドアン大統領は前からトルコ側に難民が流れてこないように、シリア側に緩衝地帯を作って、そこに難民を押しとどめることを考えていて、難民問題が片付けば後は国内と、シリアと争う気はなくシリアから撤兵する気です。シリア側もトルコと戦う気はなく領土に入ってこなければ問題ないといったところです。

経済制裁の影響が小さかった理由

14日にアメリカがトルコに対して経済制裁をすると発表されましたが、ニュースが出たときは下げましたが、さほど大きく下げず円安の流れでトルコリラは大きく下げずに、翌日から買われました。予想外の経済制裁ですが、軍事行動後で経済制裁はすでに織り込まれていて、為替レートに対する影響が小さくなっていました。

軍事作戦停止も大したことが無く

17日にトルコ軍の軍事作戦がアメリカとの協議で停止になり、それに合わせて経済制裁も見送りになったのでトルコリラが急伸しました。しかし経済制裁での下げも大したことが無かったため、すでに上昇に転じていた分、さほど大きく上げませんでした。軍事作戦停止でトルコ軍が撤退にまで至っていないため、それほど大きな材料にはならず、19円台回復までには至りませんでした。

来週は政策金利発表

来週は24日にトルコ中銀から政策金利発表がありまして、利下げは確実ですが、どれだけ利下げをするのか?また利下げ後に上昇があるのか?わからないこと尽くしで予想レンジはとても読みづらいです。予想レンジとしては18円30銭~19円20銭と予想してみます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2019年10月第二週

トルコがシリアで軍事作戦開始。予想外の出来事でトルコリラは下げを加速しましたが、地合いが良くて18円台で下げ止まり、逆に上昇に転じました。下げ止まった背景として、アメリカの経済制裁がすぐに行われなかったことにより、経済制裁が無いものと判断されているようです。

 

トルコの軍事作戦の背景

 

トルコのエルドアン大統領にとって、国内のクルド人武装勢力は悩みの種でして、今まで何回も武装勢力の掃討作戦を展開してきました。しかしクルド人武装勢力がシリアから流入してるので、武装勢力の補給を遮断する目的も含めて、シリア領内でも軍事作戦を行うことを決めました。この軍事作戦は何度も行われていて、シリアのアサド政権は反発しています。ただ今回は米軍が関与していなくて、あくまでもトルコ側のシリア側の都合に沿った行動で、シリアもロシアも黙認でアメリカやEUが避難しています。

 

アメリカの経済制裁はあるのか

 

この軍事作戦に、シリアからの撤収を考えているアメリカのトランプ大統領はお怒りですが、経済制裁に関してはアメリカ議会からの突き上げがあるにもかかわらず、態度を保留しています。経済制裁をしてもロシア側がトルコを助けて、結果的にトルコをロシア側に取られるから、脅しはしても実際はできないのが現状です。しかしアメリカのメンツもあって、必ずしも経済制裁は行われないとは言えません。それでも経済制裁をする前に軍事作戦が終了しそうで、こちらも杞憂になりそうです。

 

軍事作戦は経済にマイナス

 

今回はトルコにとって大規模な軍事作戦になるので、トルコ政府の財政赤字拡大は貿易赤字、経常収支の赤字の拡大になり、生産が追い付かない消費の拡大はインフレを推し進めるから、トルコ経済にマイナスになります。インフレを抑え込もうとトルコ中銀は利上げを行いところですが、エルドアン大統領からの圧力があるから、利上げを行えず中期的には経済が悪化するのは確実です。

 

来週はどう動くか

 

来週のトルコリラですが、14日に8月鉱工業生産 (前年比)の発表がありますが、大きく動かずに引き続き相場の地合いに押される値動きになりそうです。トレンド的には下げですが、軍事作戦終了で下値は限定的で、どこで反転かが争点になりそうです。予想レンジとしては18円10銭~18円90銭と予想してみます。

 

 

2019年10月第一週

今週のトルコリラは、9月消費者物価指数が予想を下回ったけど、それを好感してトルコリラが買われましたが、すぐに売られて地合いに押されて下げていきました。材料出尽くし感で、トルコリラが買い続かず、次の政策金利発表まで軟調な地合いが続きそうです。

 

利下げの影響が出てインフレ率は悪化し始めている

 

9月消費者物価指数は前月比前年比とも予想を下回りましたが、数字的には前年より改善したけど前月よりは悪化しています。前月より悪化は利下げの影響で、インフレ率が上昇し始めていると考えられます。9月生産者物価指数も前年よりは良くなっていますが、前月比では悪化しています。インフレ率が悪化しているならば、次の金融政策決定会合で利上げがあると考えられますが、エルドアン大統領の圧力で次もまた利下げの可能性が高く、利下げになればインフレ率はさらに上昇するでしょう。

 

金利は一桁台まで下がる流れ

 

今月の24日にトルコ中銀の金融政策決定会合があって、政策金利が発表されます。この時に利下げが行われる可能性が高く、利上げはほぼ無くあっても据え置きぐらいです。ただ据え置きでもエルドアン大統領の強権発動で中央銀行総裁の解任になりそうですから、確実に利下げがあると思っていいでしょう。エルドアン大統領は、例えインフレが進もうと利下げをすればインフレがそのうち改善すると思っていますから、要求通り金利を一桁台まで下がるまで、トルコ中銀に圧力をかけて、その圧力にトルコ中銀が屈して利下げをすることになりそうです。

 

来週のトルコリラの予想

 

来週のトルコリラは、トルコリラを積極的に買う材料が無く、トレンド的には下げですが、主要通貨に合わせた値動きになりそうです。予想レンジとしては18円50銭~18円90銭と狭い範囲での値動きになりそうです。